おかげさまで、9/8、開業5カ月になりました。関わってくださった方すべてに感謝を申し上げます。

本当に揉めなかった相続のすべて

生前贈与:孫への贈与で税負担を軽く

それまで、私たちは両親の相続について話し合ったことは、一度もありませんでした。なので、その時初めて、私は、兄弟姉妹の率直な気持ち『もちろん納税も大切だが、父母が働きづめに働いて貯めた資産は、少しでも多く親族で引き継いだ方がいい』という思いを聴きました。

兄弟姉妹の中に、『両親が健在なうちに相続を話題にするのは嫌だ』という気持ちがないことを確認してから、私は、現金の生前贈与を提案してみました。それも、孫など相続人以外との間での贈与契約です。相続人への生前贈与は最大7年間さかのぼって持ち戻しの対象にされてしまうからです。

結論としては、孫及び私たちの配偶者と父や母との間で贈与の取り決めをしてもらいました。こうすれば、贈与金額がまるまる孫たちに受け継がれ、贈与して減った現金の分だけ、将来の相続税を減らせます。

気付いた点

  • 両親が認知症になってしまうと、この対策は不可能になります。ある意味、時間との闘いかも知れません。
  • 私たち兄弟姉妹に、配偶者が居たりいなかったり、子の数も多かったり少なかったりしました。不公平感が生じないよう話し合う必要があります。
  • 贈与を受け取る孫たちの贈与税が非課税になるかどうかは、最終的には税務署の判断です。これを十分に分かってもらって、間違っても非課税を確約したりしないようにします。
  • こんなことを、時間を気にせずじっくり話し合う場所は、なかなかありません。当事務所には、親族会議専用スペースが用意されています。
  • 料金は、司法書士のサポート付きで、ご本人+推定相続人のみの場合、22,000円です。
父の遺言:付言に込められた想い

父は、自分の遺言を公正証書の形式で遺していました。私は、公証人役場に赴き、父の遺言書を探し出してもらい、写し(謄本)を3通作ってもらいました。3通というのは、兄弟姉妹の数です。料金は、6,750円でした。

遺言書の日付を見ると、亡くなる約3年前でした。そして、付言事項として、母への感謝と私たち兄弟姉妹が母の面倒をしっかり見るべき旨が書かれています。私は、亡き父を想いながら、直ちに、兄弟姉妹に遺言書謄本を郵送しました。

気付いた点

  • 公正証書遺言であれば、家庭裁裁判所の検認手続きが不要なので、このように兄弟姉妹に遺言の内容を直ちに伝えることが容易です。
  • ただし、遺言書作成の料金は余分に掛かります。司法書士にご相談ください。
  • 公正証書遺言の謄本作成の料金は、遺言書の頁数によっても異なります。
  • 付言事項とは、遺された人たちへの最後の手紙のことです。自由に書いてよい反面、書き過ぎてしまうと思わぬ波紋を引き起こすともいわれています。
  • 当事務所では、遺言書の作成を支援しています。料金は、自筆遺言1通の場合、33,000円です。
相続税の計算:一次相続の把握

父の遺言どおりに相続をした場合の相続税を試算してみると、たしかに低く抑えられていました。これは、母の余生のために、できる限り多くの遺産を母に残す内容だったからです(現行制度では、配偶者への相続は1億6千万円まで非課税)。

二次相続の試算:将来の税負担

ところが、二次相続が発生すると、トータルでの相続税の合計額は、かえって高くなるのです。二次相続とは、ここでは母が亡くなった場合の相続のことをいいます。

では、法定相続分どおりなら問題がないかといえば、そうでもありません。

悩んだ末に、兄弟姉妹に相談します。その時、一次相続の際に母の相続分を増やしたり減らしたりしたときに、二次相続を含めた相続税の合計額が最も低くなりそうな最適解(と思われる相続割合)を提示しました。

気付いた点

  • 一次相続における母の相続分を増やした場合と思い切って減らした場合とで、トータルでの納税額に、なんと最大500万円以上の差がありました。
  • 父は、遺言作成に際して、大手銀行に遺言信託をお願いして、そのアドバイスを受けていました。ちなみに、銀行には88万円も払っていました。それなのに…。
  • 実は、大手銀行も司法書士も、一般的制度の説明しかできません。具体的な試算をすることが許されているのは、税理士だけです。
  • 当事務所なら、88万円も掛けることなく税理士と協同作業できます!
遺産分割協議①

私たちは、父の遺言を尊重しつつ、ゼロから遺産分割協議をすることにしました。協議に加わったのは、母および私たち兄弟姉妹です。

協議では、母の相続分は実家の土地・建物だけにして、大半を私たち兄弟姉妹で均等に分けました。母の面倒については、私たちで必ず責任を持つという自覚や確信をお互いに持っていたからこそです。

私が、遺産分割協議書を作成し、全員で署名捺印(実印)をして、各自が1通ずつ保有しました。

気付いた点

  • 遺産分けの大胆なやり直しをすると、遺言を書き直したのとほぼ同じになります。だからこそ、何よりも父の遺志を尊重することを確認し合ってから進めました。
  • 遺産分割協議を慎重に進めたい方は、ぜひ当事務所にご依頼ください。
  • 料金は、最低33,000円+実費です。
遺言信託の壁:想像以上の“縛り”

父は、大手銀行の遺言信託制度を利用していました。私たち兄弟姉妹が超仲良しとまではいえず、争族になるのだけは避けたいと考えてのことだったかも知れません。また、遺産分けの手続きは大変手間の掛かるものなので、私たちの負担を軽減しようという気遣いもあったでしょう。

それはともかく、この遺言信託という銀行の商品は、私たち相続人にとっては、迷惑な障害になるのを知っていますか? なぜなら、銀行は、遺言を単にそのまま実行するだけで、一切融通を効かせることがなく、それでいて、登記や申告は銀行自身ではできず、有料で士業(銀行指定の税理士や司法書士)に頼まざるを得ないという何ともコスパの悪い商品だからです。

ちなみに、このままでは、私たちは遺産の中から132万円もの報酬を銀行に持って行かれ、別料金として税理士や司法書士にも報酬を支払わねばならない状況下にありました。

現在、大手銀行の遺言信託を契約なさっている方、当事務所にご一報ください。

気付いた点

  • 私たちは、幸運に恵まれ、大手銀行の辞退を勝ち取りました。ですが、通常は、理不尽を感じても、解任は認められません。
  • 相続発生前であれば、解約可能性は残っています。私は、会社員時代に、社長の遺言信託解約を経験しました。
  • 相談料金は、二時間、11,000円です。
相続税の申告①:期限を意識しながら

小規模宅地の特例を忘れそうになりました。

母が、実家の土地・建物を相続するので、小規模宅地の特例(8割引き制度)は、母の相続税申告の中で行います。このとき、私は勘違いをしそうになりました。つまり、配偶者は1億6千万円まで非課税である以上、小規模宅地の特例を申告してもしなくても母の納税額は不変と思ったのです。

たしかに、母の納税額はどっちにしてもゼロ(不変)なのですが、相続税の総額を下げるためには、小規模宅地の特例は申告しなければなりません。

遺産分割協議②:もっとも時間を要した

母は、父と違って、遺言を書いていませんでした。この場合には、私たち兄弟姉妹で遺産を均等に分けるという遺産分割協議書を作成して、全員で署名捺印(実印)します。

気付いた点

  • この「均等」に分けるというのが、想像以上に難しかったです。
  • 一人が土地・建物を相続するとき、この土地・建物の評価額をいくらにするかで、多少なりとも揉めるからです。
  • ならば、土地・建物を売却した後に、じっくり遺産分割協議をすれば良さそうです。ですが、そうすると、売り急ぐことになって、不利です。相続税の申告期間は10か月しかありません。
  • 均等分けの面倒を避けるために、土地・建物を、いったん兄弟姉妹の共同所有にするケースがあるのですが、司法書士としてお勧めできません。面倒を避けたいという状況自体、とことんまで話し合う関係にはないということなので、揉め事の種を将来に残すことになりますし、その後、兄弟姉妹に相続が発生すれば、それこそ収拾がつきません。
  • 当事務所にご相談ください。全員が納得する遺産分割協議書を、ご一緒に作りましょう。
  • 料金は、最低33,000円+実費です。
相続税の申告②:「終わった感」あまりなし

二次相続では、もう小規模宅地の特例は使えませんでしたし、法定相続人の人数も減っているので、相続税はよりストレートに課税されてきます。だからこそ、一次相続で、母の相続分を減らして大正解でした。

もしも、父の遺言どおりに進めていたら、そして生前贈与もしていなかったとしたら、二次相続単体で980万円多く納税するところでした。

実家の相続登記:いまや国民の義務となった

司法書士を目指す前だったので、知らなかったのですが、父から母への相続登記は申請しなくて、結果的に正解でした。理由は次のとおりです。

今回、実家の土地・建物は、父→母→私と移転しているので、登記費用は2回分要するはずでした。しかし、この登記費用というのが10万円以上もするので、二の足を踏んでいました。こう思うのは私だけではないらしく、全国的な相続登記放置の遠因になっているようです。

そこで、父→母の分の登記費用は、当面の間、免除される運用になっています。

気付いた点

  • 相続登記の放置等によって生じた所有者不明土地の総面積が、九州と同じ広さに達したことに危機感を抱いた国が、相続登記を義務化しました。
  • 最高10万円の過料が課されます。
  • 相続した土地の名義をそのままにしている方は、当事務所にご一報ください。相談料金は、二時間で11,000円です。
  • ご自分で名義変更することの支援もしています。料金は、最低5,500円+実費です。
実家売却の準備:境界と土地面積

相続税の申告と納税が終わりました。とはいっても、税務署からは何の連絡も来ません。税務署は、過少申告を疑った時だけ連絡してきます。言い換えれば、税金を多く納め過ぎていても黙っているということです。なんて不親切なんでしょうか。これでは、私たち兄弟姉妹の納税額が正しかったのかどうかは永久に分かりません。

  

これは、税理士に申告を頼んでも同じです。申告が適切だったのかを税務署は知らせてくれないのですから、相続に強い税理士に頼まないといけません。ちなみに、年間の相続税申告数が数件に満たない税理士は、想像以上に多いそうですから、ほんとうに注意しましょう。

ところで、実家の土地・建物を売却するとき必要なのが本測量です。土地家屋調査士に依頼して、隣地の所有者全員に立ち会っていただき、隣地との境界を調査・確定し、土地の面積を正確に測量してゆきます。

ここまで何でも自分でやってきた私でしたが、さすがに測量はできない(笑)ので、昭和の時代に父が土地購入した際の土地家屋調査士のご子息に頼みました。

気付いた点

  • 隣地の所有者全員のご協力がないと進みません。普段からのご近所づきあいが大事です。私は、ここでも両親に感謝することになりました。
  • 本測量の結果、土地面積がなんと18坪近く狭小であったことが判明しました!。あわてて、昭和の測量図面を確かめると、分筆した土地面積だけを測って、引き算した結果をそのまま土地面積と決めつけていました…。昭和以前の測量はいい加減で、よくあることなので、いちいち怒ったり嘆いたりしちゃいけないそうです(泣)。
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  • 今まで何十年も納付してきた固定資産税も、払ったばかりの登記費用も、土地面積が狭小であった分は、安くなっていたはずです。しかし、還付は認めてもらえませんでした。
  • ならば、納付済みの相続税はどうでしょうか。私は、相続税更正請求をして、63万円を取り返し、兄弟姉妹で分配しました!。
買い手との出会い:買い手は選べる(ときもある)

ひとくちに、実家を売却するといっても、だれに頼んだらよいかは一大事です。私は、隣地を所有している業者に声を掛けてみました。隣地は、そこそこ広いのですが、公道への接続が悪く、実家の土地と一体になって始めて、その広さに見合った価値が発揮されるような、奥まった土地でした。

一般的には不動産屋に売却の仲介を頼むところですが、実家の土地・建物の売却には幾つかの障害がありました。売主側の都合上、令和7年2月までに更地にしてもらいたいこと、更地にするには建物解体費(場合によっては500万円以上)がかかること、擁壁が昭和基準のため、そのままでは新建物建築できないこと。この条件を許容できる買い手を探すのは容易ではありません。

隣地を所有していた業者は、この条件をすべて了承してくれました。隣地の有効活用につながるということで、金額面でも努力してくれたと思います。限られた平地しか持たない日本…両親の遺した土地を活用してもらえて感謝です。

気付いた点

  • 土地・建物の売買契約書は、たいていの場合、公益社団法人 全国宅建取引業連合会が用意している定型書式が用いられます。私のように、いろいろ条件を付けたい場合には、契約書の特約欄に条件を一つ一つ明記してもらう必要があります。必ずそうしましょう。
  • 令和7年2月までに更地化しなければならない売主側の都合とは、譲渡所得税が最大600万円減税されるかどうかという、あまりにも大きすぎる事情です(その内容は、すぐ下の章)。
譲渡所得税:税務署との最後の戦い

相続した実家を売却すると、譲渡所得を申告せよと税務署からハガキが届きます。こういうときの税務署は、抜かりないです(怒)。

もちろん(売却した金額―取得費・必要経費)が所得ですが、実家を隅から隅まで探しても、当時の建物購入契約書の類は見つかりませんでした。こういうときのルールをご存じですか?それは、取得費の証明書類が見つからないならば、取得費は一律、売価の5%とみなすという信じ難いようなルールです。たったの5%ですよ…ひどすぎませんか。

こうなったら、是が非でも3000万円の特別控除(最大600万円減税)の適用を受けるしかありません。言い換えると、この特別控除がなければ、600万円近い譲渡所得税を納付しなければならなくなるという絶体絶命の状況でした。

気付いた点

  • 正式には、「被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除」と呼ばれています(いつまで継続するか不明の、期限付きの特別措置です)。
  • 適用のカギは、税務署ではなく市町村に提出する「被相続人居住用家屋等確認申請書」です。市町村長が確認すれば成功率大。逆に無ければ、税務署は受け付けないようです。
  • このこと一つ採ってみても、相続に詳しい税理士でないと手に負えないと容易に想像できます。失敗がバレて、裁判で訴えられた税理士もいるそうです。
還付請求:ほんとうに…最後の戦い

5%ルールに納得が行かない私の最後の抵抗がこれです。

実家の旧い登記簿を調べると、父が建物購入前後に、金融機関に抵当権を設定していました。この時の借金の額は、登記簿からわかります。私は、この借金の額を取得費として譲渡所得を再計算するよう、税務署に請求しました。

気付いた点

  • 正式名称「令和〇年分所得税および復興特別所得税の更正請求書」を添付書類といっしょに提出しました。
  • 18万円が還付されました。
  • 私が体験した相続のリアルに、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
  • あなたの相続も、必ず“揉めない選択肢”があります。緑園司法書士事務所が、その一歩を一緒に考えます。
  • 次は、当事務所でお会い致しましょう!